こんにちはおじさん少年です
この記事では
【登山用レインウェア(雨具)】使用後は洗濯機で“即”洗濯OK。撥水処理・洗剤(エマール)など詳しく解説!
についてお伝えします。
「レインウェア(雨具)の洗濯ってわからない」という方結構いらっしゃるのでは、、、
「クリーニング出すのか?」とか「そもそも洗っていいの?」とか「専用洗剤じゃなくていい?」などなど
謎が残ったまま
「とりあえず乾かしておくか」
で終わらせてしまう人って多いんじゃないでしょうか。
レインウエア(雨具)は“水を通さないもの”です。
なんとなく洗濯機に入れるのは抵抗がありますよね?
「なんだか洗濯機を壊してしまいそう、脱水したらボロボロになってしまうんじゃないか」
そもそも
「水を防ぐためのレインウエア(雨具)が“水浸し”になってしまったら、元に戻らなくなってしまうんではないか」と言う不安に駆られます。
やっぱり私も登山を始めた学生の時はそういうふうに考えていました。
まあ、大昔のゴム引きの透湿性のないレインウエア(雨具)は洗うとダメになってしまったような気がします。
その名残か(?)、未だに「レインウエア(雨具)を洗った方がいいのかどうか」は迷いのもととなっています。
安心してください。
レインウエア(雨具)は使って汚れたら洗濯したほうがいいのです。
むしろレインウエア(雨具)の汚れを放置しておくと劣化の元になります。
それに激気持ち悪いですよね、雨の中で山道を歩くと大量に汗をかいてそれが内部に付着していますから雑菌の繁殖の元にもなります。直ちに洗ってキレイにした上で長く着れるように軽くメンテナンスしてやるのがグッドです。
登山用レインウェア(雨具)は洗っても平気ですので、キレイにした方が長持ちするし気持ちいいですから気楽にメンテしてあげましょう。
レインウェアは洗ってはいけない、、、:クロタキさんの呪いにだまされた
私が初めてゴアテックス製の高性能登山用レインウエアを着たのは学生の時に行った白馬岳です。
まだ1年生だった私は先輩の黒滝さんからノースフェイスの当時としてはかなり高価なレインウエアを借り受けることになりました。
登山の最中雨が降ってきたので借りたレインウエアを出してみます。
むー、カピカピでかなり汚い状態でした。使用には問題なかったですが、、、
登山から帰ってきて、実家で洗濯を母に頼みます(山から直の帰省)。すると、あまりにも汚かったレインウエアを母は見かねて洗濯機で洗ってしまいました。
当時クロタキさんは「このレインウエアは洗ってはならぬ、、、」とナウシカの大婆さまのように言っていました。
それを聞いていた私は、
母に「なんてことするんだ!レインウエアがダメになってしまうんじゃないか!このままでは谷は全滅だー」と激高するミト爺のごとく食ってかかったんです。
実はクロタキさんは間違えており、母は正しかったのです。
泥で汚れたレインウエアは劣化する一方。
洗って汚れを落としてやらないと撥水性も復活しません。
「間違えた解釈はアイテムを劣化させる」ことの悪い見本ですわい。
似ていてちと違う、、、:レインウェアには撥水と防水の2つの機能がある
レインウエアには撥水性と防水性の2つの機能があるのをご存知でしょうか?
あらかじめ知っておいた方がメンテナンスの理解が進みます。
撥水と防水の違い
撥水性
撥水性とは表面で水を弾く機能です。雨がレインウエアに当たってレインウエアの表面で玉になっているのを見たことがありますよね、これが撥水性があることの印で、水を弾く性質です。
この撥水性は、レインウエアを長く使って汚れたり、洗ったりすることで徐々に失われていきます。
● 撥水の仕組み撥水の仕組み
撥水加工が良く効いている生地の表面には“撥水基”というものがきれいに立って並んでいます。
この撥水基(とげのような形状)が整列して立っているときには水を弾きますが、撥水基が倒れたりして整列が乱れてしまうと水を弾かなくなります。
するとジワーッと生地の表面に水が染みてしまう状態になります。それでも水は入ってこないのですが、生地が水浸しになるので撥水性はできるだけ維持したいものです。
撥水性を保つためには
- 熱処理(撥水処理)を施す
- 撥水剤(防水スプレーなど)をかける
のが有効な手立てですが、まぁ、使い込むうちに初期の素晴らしい撥水性はどうしても失われてしまいます。
撥水性があまりにもなくなったら寿命と見るしかないでしょう。
防水性
実はレインウエアに使われている透湿防水素材(○○テックス的なもの)の防水性は失われる事はあまりないそうです。破れたり燃えたりしたら失われてしまいますが、基本的に防水性というのは保持されるのです。
穴が空いてしまうとダメですね。浸水して内側が濡れてしまいます。
レインウェアを洗おう、、、:汚れを落とし乾燥させるまでが大事
さてレインウエアの実際の洗濯についてですが、これは各ファスナーを閉じて普通に洗濯機で洗えばオッケーです。脱水までして大丈夫ですが、しっかりと順を追って見ていきましょう。
ステップ1:洗濯前の下準備
- ウェアについている洗濯表示の内容に従ったほうがいいのですが、まあ自己判断としましょう。
- ファスナーやベルクロ類は全て閉じます。つまり表面洗いがメインです。
- 収納式のフードは出す。ドローコードも緩めましょう。
- ネットに入れた方が無難です。他の洗濯物とねじれて絡まるのは良くないです。
ステップ2:洗濯→すすぎ
下準備が整ったら洗濯機に入れて洗濯します。
- 「洗剤は漂白剤や柔軟剤が入っていない液体洗剤を少量使う」が標準
- 洗剤は後述するのですが、“無蛍光(蛍光剤なし)”のものを使いましょう。
- ぬるま湯(ただし40℃以下)での洗濯が望ましいです。洗濯機に温度設定があればいいですね。
- すすぎは通常の「2倍が目安」。汚れや洗剤の残りは撥水性を低下させる原因となるのでよくすすぎましょう。
- 泥等の頑固な汚れが付いていても“強烈な洗剤”や“ガシガシのこすり洗い”はNGです(“味”が出たと思えばよい?)。
ステップ3:脱水→乾燥
- 「レインウェアは水を通さない」ので脱水は短時間もしくは“脱水なし”でも大丈夫です。
- ただし、他のモノを一緒に洗っていると脱水なしや短時間脱水はできないかもです。
- 脱水してもレインウェアは「水だらだら状態(水を通さないから)」なので注意。
- 水を切ったら(びしょびしょになるので注意)日陰で吊るし干しでしっかり乾燥。
- 製品によってはそのまま乾燥機にかけます(ドラム式だとこの流れになる)。
洗濯~乾燥が終わったら、その後の熱処理(撥水処理)がレインウエアの撥水性を復活させる上で結構重要です。
ステップ4:熱処理(撥水処理)
レインウェアの表面に施されている撥水性(撥水基の並び)はレインウェアがキレイな状態になってから、さらに熱をかけるとまた縦に起き直して撥水性が回復します。
レインウェア乾燥後にこの一手間をかけると撥水性が長続きします。
いくつか方法を紹介しましょう。
① 乾燥機を使う
乾いたウェアを乾燥機に入れ20分ほど乾燥させます。
ドラム式があれば乾燥(オンリー)モードで実行できますね。
そうそう、もしかしたら乾燥機といっても“縦型洗濯機”の洗濯乾燥機能を想像する人もいるかもしれません。
これだとおそらくですがあまり効果がないと思います。ヒーターの乾燥熱を使った乾燥でないと不十分ですね。
ドラム式の高い熱を使った乾燥ならば効果が期待できます。でもドラム式洗濯機を持っていない人は実現不可能だし、ドラム式といっても旧型と新型で使える熱の量がかなり違うと思います。
他にも良い手段がありますよ。
② アイロンを使う
アイロンの設定を
- 低温+チームなし+必ず当て布
にします。
ウェアの生地部分に(ファスナーなどを避けて)ゆっくりとアイロンをかけます。
はっきり言って“めんどくさい”と思うのでアイロンマスターな人以外はやる気にならないと思います。でも一番効果は高そうです。
③ ドライヤーを使う
ほどよい距離を取ってドライヤーの温風をウェアにまんべんなく当てていく方法。
ドライヤーは誰でも持っているアイテムだと思いますから、お手軽さなら一番でしょう。
もちろん近づけすぎはNG。熱が伝わるように部分部分で少しずつ当ててあげるのが良いでしょう。
ステップ5:撥水剤(防水スプレー)塗布
洗濯して熱処理をしても撥水性が全然戻らないときには「撥水加工そのものがはがれている」と考えられます。
撥水性能の元は“撥水基の並び”で原料は「フッ素」です。
撥水スプレー(防水スプレー)にはフッ素が配合されていますから「フッ素のトゲ」がウェアに植え付けられているようなイメージです。
はがれてしまった撥水基は撥水剤を塗布して再度コーティングしてやります。
これも詳しくは2パターンやり方があります。
① 撥水スプレー(防水スプレー)を使う
基本こちらの方法がお手軽。
私はフッ素配合の防水スプレーを使っています。
出典:amazon
定評ある「ニクワックス ダイレクトスプレー」は“濡れた状態でスプレーする”などちょっとめんどくさいので普段使いはしていません。
出典:amazon
② ニクワックス ダイレクトWASH-IN を使う
「つけ置き」系の撥水剤と言えば「ニクワックス ダイレクトwash-in」
出典:amazon
こんな感じで↓で「浸して→すすぐ」の流れで行います。
出典:amazon
やってみるとわかるのですが、だんだん手がゴワゴワしてきます。
「撥水剤が固まってきているんだな、コーティングされているぜ」と撥水処理を肌で感じることができます。
がしかし、「手間かかるわ!」なのも事実
風呂場でやっても風呂場の床がコーティングされた感あるし、、、
手間も場所も使います。
ただし効果は強力
ここぞと言う時に使いたいですね。
ステップ6:保管
保管は「風通しの良い場所で」が理想ですが、
なかなかそんな場所、確保できないですよね。
そこで、せめて心がけておきたいのが“ハンガーに吊す”こと
「収納用のスタッフバッグに戻す」のは避けましょう。
やはり圧縮されていると空気の循環も悪いですし、撥水処理も崩れます。
吊しておけば、カッコいい山のレインウェアを日常使いもできますから便利でもありますよ。
どんな洗剤がいいの?、、、:洗剤は無蛍光のものを、迷ったらエマール
洗濯時の「洗剤の事」についてもう少し詳しく記述しておきます。
無蛍光の洗剤と言いましたが、これは洗剤の成分表示を見てみればわかります。蛍光剤が入ってなければ「無蛍光」と書いてありますよ。
どの商品を使えばいいか迷ったらオススメは「ホームクリーニング・エマール」です。
出典:amazon
おしゃれ着洗いのエマールならば登山で着た他のウェアと一緒に洗うことができます。エマールはおしゃれ着洗いといっても汚れを落とす能力は低くないですよ。
その他ニックワックス(Nikwax)からもレインウエア専用の洗剤も登山用品店には置いてありますが、はっきりって“かなり割高”です。
出典:amazon
まぁ、こだわる人ならばこういった専用の洗剤を使った方がいいかもしれませんけど、洗濯の頻度は結構高いので、、、
正直、私も使ったのは最初だけで(すぐなくなるし)、後は全部エマールにしてしまいました。
雨具使用の登山から帰ってきました、、、:洗濯の流れをシミュレーション(ズボラ用)
登山に行って雨に降られました。
レインウエアを使っての登山、終わって家に帰ってきました。
どのような動きで洗濯するのかちょっと考えてみます。
まず。超汚くなった数々のウェアは早めに洗濯してしまったほうがいいですよね。
でもこんな時に限って夜だったり、外は雨が降っていたり、すぐ干すことができません。
まぁ、とにかく洗濯機(縦型、ドラム式ではない)に洗うものを全部入れてしまいます。もちろんレインウエアも含めます。
他のものと干渉して傷つくのが気になる人はレインウエアは洗濯ネットに入れてしまいましょう。
洗濯機に入れたらエマールで洗います。この間に自分はシャワーを浴びたり風呂に入ったりしてきれいになっておきます。
さて洗濯が終わりました。脱水まで終わっています(本当はレインウェアの脱水は短い方が良い)。
そうしたらこれらのウエア類を大きめのランドリーバック(どうでもいいですがIKEAの袋がこういうときには便利です)に入れて
近くの“コインランドリー”を目指しましょう。
コインランドリーの乾燥機はこんな時にすごく便利です。なるべく新しい機械が置いてあるところは良いですね。
持ってきた洗濯物を全部乾燥機にぶち込んで乾燥開始、コインランドリーはほとんどがガス乾燥なので乾燥させる装置としては申し分ないです。
30~ 40分程度乾燥させるのがベストかと。
なぜちょっと長めに乾燥させるかというと
「熱も加わってレインウエアの撥水性もそこそこ回復する!だろう」
という“ズボラ流”の考えがあるからです。
本当は「乾燥」と「熱処理(撥水処理)」は別の方が良い!
熱処理(撥水処理)はキレイになったウェアに施すのが理想なので、一連の動作としていっぺんにやってしまうのはあんまりよろしくないかもしれません。
マメな人だと乾燥を短めにして、アイロンがけをしたりして熱処理(撥水処理)するでしょうが、私はめんどくさいのでしっかりと熱で乾燥したらそれで終わりにしてしまいます。
乾燥が終わって家に帰ってきたらレインウエアをハンガーにかけて、まぁ、やる気があればなんですが防水スプレーをシャッとかけてメンテナンス完了です。
浸水するんですけど、、、:シーリングテープの劣化には注意
レインウエアを長く使う場合撥水性は徐々に衰えますが、基本水は通さないので浸水はないはずです。
「えー、でも濡れるよ」
という人は
「シーリングテープという縫い目に沿って貼ってある裏地のテープ」
がダメになってしまったりします。
このシーリングテープは接着剤を使って貼り直すことで補修できます。
乾燥して帰ってきたレインウエアの裏地をよく眺めてみてください。
パリパリとシーリングテープが剥がれてしまっているところはありませんか?
ここは入念に補修すべきところ。
見落としがちです。
接着剤がうまく付かなかったら?
シーリングテープは長くつながっているので
一部がはがれると連鎖的に周りがはがれやすくなります。
接着剤での補修が追っつかないことも
そんな時は強力なダクトテープで一網打尽に押さえてしまうのもアリです。むしろ効果高いかも。
出典:amazon
まとめ
いかかがでしたか?
今回は
「登山用レインウエア(雨具)は使ったら洗うべし、洗剤はエマールでオーケー」
についてご紹介しました。
登山用レインウエア(雨具)の洗濯は
- 使って汚れたら必ず行うべし
- 撥水性回復のために熱処理(撥水処理)にも気を配る
- 無蛍光の洗剤(エマールなど)を使用
- コインランドリーの乾燥機で熱を加えて乾燥させると確実ではないがラク
- 乾いたらシーリングテープの劣化をチェック
レインウェア(雨具)は乾燥させておかないと劣化してしまいますから、「使ったら洗う」を定番化しておいた方が無難ですね。
最初に洗うまではちょっと躊躇してしまうかもしれませんが、「汚れは落とすべし」ですから思い切って洗濯機に放り込んでしまいましょう(ファスナーは閉じた方がいいです)。
雨はイヤですけど、キレイなレインウェアを着れば少しは気持ちも晴れるかも、、、
ん?、山で雨が降ってきて、ちょーくせーレインウェアはよく考えたら最悪じゃないですか、、、やっぱり洗うのが正解です。